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「ティール組織」の書感

カテゴリ:      2018年9月30日

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今、話題の「ティール組織」を読んだ
組織の進化は、当然、社会の変化や進化に連動している
自身の作ってきた組織と照らしあわせてこの著書を読んでみた

 衝動的組織(レッド) トップは常に暴力を行使、組織を繋ぎとめるのは恐怖  
現代ではマフィア、部族の民兵

 順応型組織(オレンジ)ピラミッド型階層構造、トップダウンによる指揮命令
            現代では国家 官僚型

 達成型組織(黄色)  目的は競争に勝つこと、利益を獲得して成長目指す
            現代では多国籍企業

 多元型(緑)     ピラミッド型階層構造の中で、文化と権限委譲を高め社員のモチベーションを高める、モデルではサウスウェスト航空

 進化型(青緑)    自主経営(セルフマネージメント)チーム、
            外発的動機ではなく内発的動機で動く、内在的な価値や前提に照らし正しいと感じることを実施する   
            モデルとしてFAVI(部品製造)、ピュートゾルフ(医療看護)
            モーニングスター(食品加工)

 1990年、私が仲間5人で26歳の時に初めて起業した時代
日本は、不動産バブル崩壊したものの終身雇用制という世界でも類をみない家族型経営の仕組みが残っていた
大手企業は、社員の家族も参加型の社内運動会を開催し、会社が社員の家のローンまで面倒をみていた
その背景には、戦後の焼け野原から、「JAPAN IS NO1」と言われるまでに成功し、世界が注目する日本の家族型経営があった
先日も、映画にもなった「海賊と呼ばれた男」(出光興産の原型であった国岡商店の物語)がテレビでも放映されていたが、まさに「生きるために働く」
「国の復興」という「組織の存在目的」も明確であった
そのために強烈なリーダーや大家族型組織が求められていた
社員全員反対しても、国交正常化していないイランに原油を求めて経営者の一言で冒険の旅に出てしまう
正に、ボス型マネージメントである

 1990年代は、順応型から達成型そんな組織トレンドだった
私も達成者には、昇進、報奨金というインセンティブを与え、ボス型の達成型組織を作っていた
その後、時代は、アメリカ型の能力主義型経営を日本の大手企業が取り入れ始める
山一証券、北海道拓殖銀行の倒産という日本を代表とする大手企業が崩壊し、ハゲタカと呼ばれる外資系ファンドが日本企業を買収していくという背景が、能力主義型経営を推し進め、中途採用市場が拡大し、人材の流動化が活性化していく
大家族型経営からの移行である
しかし、極端な能力主義型経営は、日本では成功せずに、2000年代に入ると富士通等が
能力主義型経営の失敗を認めるコメントを出し始める
「農耕文化」「結の精神を持つ村社会文化」をかつて有していた日本社会には、個を突出させるやり方が、DNA的に合わなかったと私は推測している
そこから、多元型組織、「ボトムアップ」という言葉が、多くの組織、研修カリキュラムに見られるようになる
著書にもあるが、多元型は、人々の感情に敏感であり、公平、平等、調和、コミュニティー、協力、コンセンサスを求める
人間関係を重視する
多元型組織は、ボトムアップのプロセスを模索する、さまざまな対立する見解をなるべく多く集めて、最終的にメンバーの総意に基づく合意を目指す
多元型組織の特徴は
① 権限の委譲 
例えば、サウスウェスト航空では、自らの創意工夫で乗客の抱えている問題に向き合う権限を与えられている、スタッフがルールブックを超えた活動を認められている航空会社はない
② 価値観を重視する文化と心を揺すぶるような存在目的 
サウスウエスト航空は、単に運送業に携わっているのではなく、乗客は、サウスウェスト航空の低料金でなければ行けなかったはずの場所に行けるようになる
つまり「自由」のお手伝いをしている
③  多数のステークスホルダーの視点を生かす
企業は投資家だけでなく、経営者、社員、顧客、サプライヤー、地域社会、社会全体、そして環境にも責任を負う

 私の3度目の起業が2001年
起業時は、達成型だった
自ら企業目標を設定して、4半期ごとのキックオフで、それを、メンバー全員にプレゼンテーションして、ボスとして牽引していくスタイル
ところが、3年後の2004年くらいに、このやり方に限界がではじめる
インターネット業界という、1人が100人分の成果を出す可能性のあるこの業界において、時代遅れの組織であったこと、優秀な社員ほどトップが考えた目標の押し付けに嫌悪を感じ始めた
そこで、2004年の秋に幹部6名と熱海で合宿を繰り返し、ボトムアップ型の多元型組織に移行することを決める
更に当時、成功していたGoogleの20%ルールを会社に導入する
(全員が業務時間の20%を、新しいwebサービスを作る、自身のスキルを上げるための時間を作る)
だが、結果は成果を出すことができなかった
理由として組織の成熟度に比べて掲げたハードルが高すぎた
2年半実施後に、全員という「旗」を降ろす
中間点の、やりたい人がプロジェクト提案するという方法に変更する

 そして今のdigiperは、個人に会社をフィッティングさせている
「留学したいので会社辞めます」「出産を機に会社辞めます」「個展活動がやりたいので会社辞めます」「他の仕事も経験したいので会社を辞めます」
そんな理由sで辞めるメンバーの救済である
もともとパートナーとしての繋がりの中で事業を推進したいという欲求が私にはあった
起業時には、「時間と空間を超える働き方」を掲げていた
そこで、2014年に、役員、パートナー、社員、サポーターという、4階層からなる組織に変容させた

 インクルージョン型で、多様性を認め、包括、包含的なものである
そうすることにより、「留学先から一日2時間だけ仕事する」「出産を機に会社辞めても、子供が幼稚園に入れば、在宅で1日4時間仕事をする」「web以外の仕事をやりながら、digiperの仕事もやる」という仕組みが出来上がった
事業の合理性においても、3年選手が辞め貢献度0になるより、少しでも仕事をやってくれた方がプロフィットを生み出す
時代背景的に、企業が社員を囲い込む時代は終わったと、私は感じている
囲い込もうとすればするほど、仕事のできる人から企業を逃げ出す
常に時代背景が、組織論に変容を与える

 TEAL組織の共通の文化特性は、「自主経営」「全体性(ホールネス)」「存在目的」

「自主経営(セルフマネージメント)チーム」
外発的動機ではなく内発的動機で動く、内在的な価値や前提に照らし正しいと感じることを実施する 
全ての情報はあらゆる人に開放されている
役職名がない
「全体性(ホールネス)」
誰もが本質的には、等しく価値ある存在である
感情的にも、精神的にも安全な環境を作り出している(心理的安心・安全な「場)つくり)
役割、教育、生まれ育った背景、興味、スキル、性格、モノの見方の違いを尊重し、自分のやり方で組織に貢献する
「存在目的」
組織は自らの存在目的を持った生命体として見られている
競争という概念は組織行動には無関係、組織の存在目的に耳を傾ける慣行がある
(誰もがセンサーで瞑想、誘導ビジュアライゼーションなどを取り入れる)

 モデルとして出て来たFAVI(部品製造)、ピュートゾルフ(医療看護)、モーニングスター(食品加工)は、それぞれ、独自スタイルを模索して、今の組織が出来上がっている
ここでのポイントは、経営者の「成熟した自我」「心理学で言われるシャドーの統合」が必要とされると書かれている
ここが大きなポイントであると私は、TEAL組織に関しては認識している

 マズローやケンウィルバーが著書に度々登場する
マズローは晩年、5大欲求の頂点「自己実現」の上に「自己超越」や「共同体の発展欲求」があると説いている
ケンウィルバーの「無境界」にあるインテグラル理論、やはり「超意識」という言葉が出てくる
私は、大学時代に心理学を専攻していたので課題図書として「無境界」を読んだが、当時、さっぱり理解できなかった。偶然、半年前にこの著書を読んだのだが、今は理論だけは理解できる。でも、これは心の境地がどこまで進化するかという問題である
それぞれのテーマは、「超越した意識」である

 組織論に、「ここまで人の意識の進化論を持ってきたか」と著作を読み終え感じた
そして、この本が売れているところが面白い
最近、日本でも、高校生起業家が出てきたり、若い起業家ほど社会問題を解決したいという欲求の強さを感じる
私たち世代の起業家から見れば、随分と精神的進化しています
「ティール組織」は、今年読んだ著書の中では、間違いなく、一番興味深かった

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桐谷晃司

1964年生まれ。スタートアップスクエア(株)、デジパ(株)代表取締役社長。世界30ヶ国を放浪した、自称スピリチュアルビジネスマン。

現在は南房総の千倉町で半農半Xな暮らしを目指しながら、循環型のエコビレッジ「あわ地球村」を創設中。

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