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引きどき

カテゴリ:経営      2006年8月25日

青山でL..P.Dの大久保さんと待ち合わせをし夕食をご一緒した
大久保さんはデジパ創業以来のクライアントであり、4年前は共にリクナビで新卒募集をしている最も小さな会社だった

なぜか、L..P.Dにはデジパの新卒新人ディレクターがいつも担当し今年も3代目の新人が張り付いている
「デジパの新人はキャラいいね。今年のSさんもテンションが高くて、食らいついてくるよ」
と大久保さんから社員に対するお褒めの言葉を頂きうれしかった

L..P.Dは靴や皮革製品の企画開発をしている会社でアパレル業界に位置する
業界について語られたのだが、一番難しいのが売れている商品の「引きどき」だそうだ

数年前の厚底ブームの時は、企画した商品が飛ぶように売れ収益の柱となったのだがユーザーが厚底は靴が長持ちしないと言い出した時に大久保さんは設備投資をストップする決断をしてその事業の縮小を実行した
その時、一番反対したのが事業の担当者でその決断に困惑した
そこで大久保さんは、握っている手のひらの指を一本一本開くように大事に掴んでいるものを離させたという
結果的にはトレンドのピークラインと事業投資のストップ時期とがほとんど同じだったそうだ

人は、一度成功体験を掴んでしまうとそれを離せなくなってしまう
手放して初めて新しいものを掴むことができる
でも人間には、欲望と保守的欲求が強く
「もっと儲かる」とか「まだ、大丈夫だろう」という気持ちが離すことを邪魔する

経営もギャンブルも引きどきが一番難しい
攻めはある意味楽である
周りが盛り上がるので後押しのエネルギーが湧きやすい
撤退はある意味マイナスのエネルギーが起きやすいので決断のジャッジを鈍らせる
その原因が自分の見栄であったりエゴであったりする

経営者にとって撤退の判断は攻めの時よりより難しいものだ


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桐谷晃司

1964年生まれ。スタートアップスクエア(株)、デジパ(株)代表取締役社長。世界30ヶ国を放浪した、自称スピリチュアルビジネスマン。

現在は南房総の千倉町で半農半Xな暮らしを目指しながら、循環型のエコビレッジ「あわ地球村」を創設中。

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