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ぐっとくる?

カテゴリ:経営      2011年2月11日

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長年の友人であるワイキューブの安田氏の新著「ぐっとくる?」を読んだ

確かに今は、経営者泣かせの時代である
私もそうであるが、「欲しいものがない」
自慢ではないが今年に入ってコンビニエンスストア以外の店で買い物をした記憶がない
ネットで、本と食料品、酒を買ったくらいである

欲しいものがないのである

一方、日本商品を求めて中国人が家電製品、化粧品、薬、そして食料品を買っていく
粉ミルクにいたっては本国の十倍するそうなのだが、品質が良くて安心して使えるからいいのだと

商品やサービスが飽和状態にある日本は、まさに世界における消費の最先端なのだ

著書で伊豆の修善寺にある花月園という旅館が出てくる
ここは、特別なお湯が出るとか、特別な料理であるとか、そういう旅館っぽい理由とはまったく異なる理由で、たびたびテレビに登場する
ある取り組みで、どっと顧客が増え黒字経営になったというのであるが、その取り組みとは鉄道模型のジオラマである
宴会場の中にジオラマをつくり、鉄道模型を走らせて楽しむことができるというのだ、その多くは鉄道マニアのリピーターで応援サイトまであるそうだ

顧客を増やしたいのなら絶対にターゲットを広げてはいけないと著者は語る
ここで鉄道模型で儲かったから、飛行機バージョン、ミニカーバージョンを作ると失敗するという
なぜなら、花月園のオーナーが鉄道模型が好きなのでこの商売が成り立っているからである

これは、私にとっては耳の痛い話である
私が経営するデジパは、たまたま創業1年目から利益を出し、アクセス解析ソフト、広告の効果測定ソフト、ネット広告の代理業、サイトの運用代行等の付帯サービスと子会社と事業を作り続けた
そして、リーマンショックの前後に大半の事業を売却あるいはクローズした
お陰様で、再び黒字経営に転換したがそこまでに2年を要した
私と同じような経験をした経営者が多いのではなかろうか

そんな中で元気な中小企業もある
1月に私が訪問した、千葉県神崎の造り酒屋「寺田本家」もそんな会社の一つだ
「百薬の長」となる酒を目指し、醸造アルコールを使わず昔ながらの「山廃仕込み」という自然発酵の道を模索し玄米酒「むすひ」を完成させる
それは、糖尿病を患う人が飲んだら血糖値が下がったり、便通がスムーズになったり、
不眠症の人がよく眠れるようになるという熱狂的なファンが生まれる酒で私も大ファンである
だが万人に好まれる日本酒ではなく、かなりマニアックだ
発酵して発砲するため「これは日本酒ではない」というクレームも度々あるそうだ

花月園、寺田本家のような経営が、消費の最先端である日本で生き残る秘訣ではないかと私は思う

寺田本家の酒蔵を見学させてもらったが、働く人の顔がいい
そして、いきいきしている「百薬の長」となる酒をつくっているという自負と職場に楽しさがあると蔵人の方は語られていた

そんな会社や組織が、地方で増えている
安田氏はそれを「ぐっとくる経営」と呼び、価格の安さや商品の性能そのものではなく、その会社が持つ考え方やこだわりに魅力を感じて人が集まってくる会社を「ぐっとくる会社」と呼んでいる

資本力のある会社は効率性と合理性を求めて合併やM&Aで生き残り、そうでない会社や組織は、大量生産化できないそこでしか作りえない価値をつくったものが消費の最先端である日本で受け入れられるのであろう
言い換えれば、それは「御用達」である


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桐谷晃司

1964年生まれ。スタートアップスクエア(株)、デジパ(株)代表取締役社長。世界30ヶ国を放浪した、自称スピリチュアルビジネスマン。

現在は南房総の千倉町で半農半Xな暮らしを目指しながら、循環型のエコビレッジ「あわ地球村」を創設中。

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