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「もの」から「つながり」を重視する社会へ

カテゴリ:時流      2011年8月 6日

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米国の財政危機も今回の債務不履行はかろうじて回避されたが、大統領、民主共和両党の三つ巴の協議を見ているとどの国も政治家は国民を横において自分の権力維持しか考えていないように見える
円高も史上最高値近くの76円まで進んだが、米国が作り上げてきた国際通貨としてのドルの反落やヨーロッパでのユーロ体制の危機は、貨幣至上主義の秩序的な危機を感じさせられる
ある日突然ベルリンの壁が崩壊したように、この秩序もいずれ大きく変わるのだろう
それは、貨幣の価値が下がり商品の価値が上がり、人との絆に重きを置くそんな時代になるのではないかと私は予想している
日本は資本主義の発展とともに大量生産・大量消費から、多品種少量生産の社会へと移り「もの」から「つながり」を重視する社会へと移りつつある
電車に乗ると10年前に比べて携帯電話を動かしている人が多くなった
「つながり」を確認する携帯電話は、人々の体の一部となりつつある
フランスのシンクタンクLEAP/E2020が金融資本主義の崩壊とともに持続可能な新しい経済システムが出現しそれは共同体志向の強い経済であると予測している
「金融危機ならびに世界不況に直面し、国民は政府、企業、メディアなどの社会組織に対する信頼を完全に喪失してしまった。逆に、いま国民は信頼できる仲間との関係を樹立し、地域コミュニティに回帰する方向に動いている。
地域コミュニティに回帰した生き方は、幸福の源泉を家族や仲間との人間関係に見出すのであり、車や耐久諸費財へのものの消費に向かわなくなる。いまこのような消費性向の変化は主要先進国で加速している。したがって、アメリカの膨大な消費が支えてきたかつての状態に世界経済が戻ることはまず考えられない。それを実現しようとする政府のどのような努力もむだに終わる」と書かれてある

先日、石巻の黄金浜地区で藤田利彦氏という地域のリーダーにお会いした
石巻の黄金浜は、4月に入るまで自衛隊の支援がやって来ず3月11日以降は自力で生き延びた地域なのだが、震災で64名の方が亡くなられた
震災直後の2日間、町の浸水が収まらず大半の方が2階で生活されていた
3日後に浸水が治まり2階から降りていくと町に死体が投げ出されていたということだ
その間、自衛隊の官邸への報告のためだけに飛ぶヘリコプター、民間メディアの撮影用のヘリコプターが上空を飛び交い町の人々が屋根から手を振って助けを求めるが、彼らは気づいていたはずなのに誰も助けに来なかった
やがて、黄金浜の人々はヘリコプターが来ても手を振るのをやめた
どうせ手を振って助けを求めても誰も来てくれないのだとあきらめたのだ
そして、力尽きて亡くなられる方が出始めた
その後、彼らは自力で生きようとし始めその地域の中で食べられるものを瓦礫の中から探し命をつないだ
3月20日を過ぎると、地域の中でも格差ができはじめた
藤田氏の住む黄金浜は、新興住宅街のため3件隣に誰が住んでいるのかがわからなかったために共同体を作ることができず炊き出しを自力で実施することができなかった
しかし、隣町は昔ながらの集落だったので同じ時期に、倒壊した家屋の木材を燃やして炊き出しが始まった
その差は、地域の「絆」(つながり)でありベースは祭りだと藤田氏は語る
祭りが盛んな地域は共同体的な絆が残っているが、祭りが希薄になった地域はその絆がなくなり災害が起きたときに、助け合うというコミュニティが作れなくなってしまっていた

この事例に、これから人々が生きていく方向性があると確信した

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桐谷晃司

1964年生まれ。スタートアップスクエア(株)、デジパ(株)代表取締役社長。世界30ヶ国を放浪した、自称スピリチュアルビジネスマン。

現在は南房総の千倉町で半農半Xな暮らしを目指しながら、循環型のエコビレッジ「あわ地球村」を創設中。

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