新しい「住」のありかたを考えるYADOKARI代表のさわだいっせいさんへのインタビュー。最終回では、さわださんが考えるこれからの住まいかた、生きかたについてお話をいただきました。

さわだいっせいさん

さわだいっせいさんのプロフィール

YADOKARI LLC 共同代表兼アートディレクター

1981年兵庫県生まれ。逗子市在住。2012年「YADOKARI」始動。世界中の小さな家やミニマルライフを紹介する「未来住まい方会議」を運営。2015年3月、250万円のスモールハウス「INSPIRATION」発表。その他、全国の遊休不動産・空き家のリユース情報を扱う「休日不動産」、北欧と日本のライフスタイル雑貨店「AURORA」を運営。

これからの住まいかた
昔の長屋文化のようなたくさんの家族と暮らす「ビレッジ」

(聞き手/デジパ:桐谷、木下)

さわだ:桐谷さんは、これからの住まい方はどんな風になっていくと思いますか?

桐谷:これからの住まいかたは、大家族で住むというのが意外に理にかなっていると思っていて。
あまりにも核家族が進み過ぎてしまって、お祖父ちゃんお祖母ちゃん子どもの面倒を見る、というモデルがなくなったり、やはりアメリカナイズの流れが起こっているけれど、今はまだコミュニティとかシェアハウスといった流れも来ていますよね。

さわだ:ビレッジ的な流れも来ていますよね。

桐谷:田舎へ行くと大きな家がたくさんあるので、そういう家をリノベーションして一緒に暮らしたりとか、そういうスタイルってあるんじゃないかなと思っています。

さわだ:僕も自治体という枠をもっと細切れにして、それぞれ価値観が近い人たちが集まる村、ビレッジのようなものができたら面白いなと思っています。
そこに僕らのスモールハウスが置いてあったり、いくつかの家族で住んでみんなで子供を育てていく。原点回帰ではないけれど、一周回って昔の長屋文化のようなところに帰ってくるような感じがしています。
小さいけど開かれたコミュニティで、助け合って暮らしていくというのはすごく面白そうですよね。

桐谷:空き家問題は確かに課題ではあるけれど、逆にそれは過大な資産だと思っているので、その資産の再活用というのがやはり面白いですよね。
島根県の海士町に3年前に行った時、そこは限界集落寸前だったんですよ。島から中学校、図書館がなくなる、という話になった時に外から力のある町長を引っ張ってきて、本気で回復を目指して成功させたという例があるんだけれど、やはりさわだ君が言ったように、市長というその地域のトップを誰がやるかによって変化が起こるだろうし、本当に力あるトップがそういうコミュニティを成功させていくんだろうなと思います。

「こうでなくてはいけない」
そんなフォーマットに収まらない
自由な生き方の選択肢を増やしたい

桐谷:最後に、YADOKARIというこのチーム、ビジョン、事業。これらを通してどんな社会をつくっていきたいですか?

さわだ:自由な生きかたの選択肢を増やしたいと思っています。今、日本で約3万人の自殺者がいるという話ってよく聞きますよね。みんなこうでないといけない、とかフォーマットに収まらないと人生駄目だよ、という考えを常識として勝手に自分の中で決めてしまっているんですよね。
僕らは、世界中の小さな暮らしや面白い暮らしかたなどをメディアで発信していますが、日本の暮らしかたと対比してみると、日本は凝り固まり過ぎだと思ったんです。
今僕らのメディアを見て新たな暮らしを実践してくれる人が増えています。これからそういう方々を紹介し、日本での事例をどんどん可視化していく予定です。新築か賃貸、この二者択一ではない、もっとたくさんの選択肢を増やしていきたい。そしてそれを笑われることなく選択できるような世の中になったら、もっと気楽に、肩肘張らずに生きていけるような人が増えていくと思っています。

住宅を小さくして余ったお金や時間は、家族との時間や趣味等の「体験」にあてる。それが少しでも日本の幸福度の向上に繋がったらいいなと思います。

桐谷:ありがとうございました。

葉山というロケーション、開放的な自宅兼アトリエで、あかるい空気感のインタビューとなりました。


(上記2枚の写真撮影/沢崎友希

アトリエオーナー兼、デジパのパートナーでもあるディレクターの渡部さん
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