コーポレートサイトにおける構造化データ活用調査
東証一部上場企業1,600社のコーポレートサイトにおける構造化データ利用率を調査して分析しました。まだ全体として広まっていないが、その中でもOGPは使われている。今後は Microdata(schema.org)にも注目。
ウェブサイトに掲載するデータ(情報)を機械が読み取りやすくするために、HTMLによるマークアップを拡張する形で情報を構造化することが出来ます。機械が読み取れることで、例えば検索エンジンがそのページのコンテンツをより詳細に把握して、より分かりやすい検索結果の表示(リッチスニペット)が出来たり、Webサービス上でページのリンクが共有された際に、より詳細な情報を表示することが出来ます。
例:Googleによるレシピ検索のリッチスニペット
例:Facebookによるリンクの情報の表示拡張
昨今のウェブサービスは構造化データを利用していなくても、適した情報を表示してくれるほどには進化しているのですが、より正しく詳細に情報を読み取ってもらうためにはデータを構造化することが必要です。
弊社では企業のコーポレートサイトを受託することが多いのですが、コーポレートサイトではどの程度構造化データが活用されているのでしょうか。東証一部上場企業を中心に調査してみましたので、その結果を報告します。
調査概要
調査対象ページ
東証一部上場企業のコーポレートサイト1601サイトトップページのみ
調査対象構造化データ
調査方法
スクリプトを利用した自動抽出。HTML中に下記のいずれかの記載があれば、構造化データを使用とみなした。
- OGP
property
の値がog:
で始まるmeta
要素- Twiiterカード
property
の値がtwiter:
で始まるmeta
要素- Microdata(schema.org)
itemscope
属性を持つ要素
調査結果
全体 | 171サイト(10.6%) |
---|---|
OGP | 161サイト(10.1%) |
Twitterカード | 6サイト(0.4%) |
schema.org | 12サイト(0.7%) |
調査結果から考察
いずれかの方法で構造化データを採用している企業は全体の10%強とまだ多くの企業が活用しているとは言えない結果でした。
個別に構造化データの手法を見ますと、OGPを採用している企業が多く見られました。理由としては、企業におけるSNS(特にFacebook)の活用が進んでいたり、日本語のドキュメントが豊富で導入が用意であったりする点が考えられます。
ただしOGPを設定しているページでも、記述されているのがそのページや記事の管理者情報(fb:app_id
など)のみで、必須項目のページタイトル(og:title
)やページの種類(og:type
)を含むページのデータを構造化する記述がないページも幾つか見られました。
Facebookの開発者向けサイトではOGPが正しく設定できているかどうか検証することが出来ますので、設定する際は検証をおすすめします。
TwitterカードについてFacebookと比較して、極端にTwitterが活用されていないとは考えられないのですが、Twiiterカードが採用されてないのは、利用に際してTwitter社に申請が必要であるため、利用のハードルが高いからかもしれません。
schema.orgに関しては、申請が必要ではないのですが、冒頭で紹介したレシピのような特定の用途でのリッチスニペット以外に具体的なメリットが少ないためか、導入されている企業は少ない結果となりました。
現時点では、Googleが掲載順位を決定するためにマークアップを使用することはありません。ただし、リッチスニペットによってウェブページが検索結果の上位に表示されるようになる場合もあるため、トラフィックが増える可能性があります。
Googleの公式見解としては、現時点では検索結果の順位に影響は無いとしていますが、上記のようにリッチスニペットが表示される場合は順位に反映される可能性もあるため、今後の動きに注目しておくと良いのではないでしょうか。
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