デザイン思考とは?<前編>
「デザイン思考」とはどういうものなのか?デザイナーの制作プロセスと照らし合わせて紐解いてみようという試みです。
近年、いろいろなところで目に(耳に)する「デザイン思考」ということば。
「デザイン思考」をデザイナーだけのものではなく、あらゆるビジネスシーンで活用しようという向きがあります。しかしそもそも「デザイン思考」とはどういうものなのか?
デザイナーの制作プロセスと照らし合わせて「デザイン思考」とはどういうものなのかをデザイナー目線で紐解いてみようと思います。
「デザイン」と「デザイン思考」
ここからわかるのは「デザイン思考」と「デザイン」は別物で、
「デザイン」は実際に"かたち"にするときの制作手段。
「デザイン思考」はそれを根底から支えるものであるということです。
デザイナーの作業プロセス
デザイナーは「AとBをつなぐことを視覚化する」ことを主な仕事としています。 Aが商品でBが一般消費者の場合、商品Aを多くの人に共感してもらうために、より伝わるビジュアルを作成したり、快適な閲覧体験を提供するためにwebサイトを制作したり、といった"伝わるかたち"を作ります。
その時の過程は以下のとおりです。
<プロセス1>
「目的」や「伝えたいこと」を理解します。
<プロセス2>
リサーチ。競合はどのような表現をしているか。一般の人の認知度や、どのような印象を持たれているか。調査・分析します。
<プロセス3>
アイデア出し。
<プロセス4>
ビジュアル作成など成果物への落とし込み。
おおよそこんな感じです。
プロセス4を「完成・結果」と捉えるとこのプロセスはきっとデザイナーに限らず、あらゆるビジネスシーンと共通しているのではないでしょうか?
さらにいうとこのプロセスの上流にさらにプロセスが存在することもあるでしょう。
たとえば商品開発のプロセス1〜4(4は商品完成)があって、次にその商品の流通のためのプロセス1〜4(4は流通経路の完成)があって、その商品の広告のためのプロセス1〜4があって...。
最後の工程で現れる違和感
たとえば、ある商品を紹介するためのwebサイトを制作するとします。
上記のプロセス1〜3を経てプロセス4を実行するのですが、その際、いろいろな疑問や問題点が見えてくることがあります。
「商品名を聞いてもどんなものかイメージできないなぁ」とか
「この独自性の説明、専門的すぎてわかりづらいなぁ」とか
「伝えたいことが自慢ばかりで共感できないなぁ」とか
「メインターゲットが高齢者ということを考えると、webサイトより新聞広告の方が効果があるのではないか?」など
"伝わるかたち"を考えた時に、なにかひっかかるというかすんなり伝わってこないと"感じる"ことがあるわけです。
おそらくこういった問題は、さらに上流の過程(この場合、商品開発など)で、精査されて決定された事項をもすり抜けて顕在化しているのだと思います。上流の過程では、はっきりとした問題にまではなっていないのかもしれません。また、技術的な解決策を要するものではないのも特徴だと思います。
もしや、上流の過程でデザイナーが関わっていたら結果は違っていたのでしょうか?
解決のヒント?「外側からの視点」
物事を外側から見ることによって、なんとなくやり過ごしてしまっていることや、そもそも目的それ自体が正しいのかといったことに気づきやすくなる。ということですね。
たしかに「わかっているもの同士」で話をしていると、細部のことに話が行きがちです。
「外側からの視点」
このあたりに「デザイン思考」に関わるヒントがありそうです。
次回は、デザイナーが上流から関わっている事例をもとに「デザイン思考」を探っていきたいと思います。
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