クライアントとの対談
桐谷晃司 × 株式会社K-pro代表取締役 木村匠、森崎千尋
桐谷
昨年の夏に私の講演に来てくれて、その後にコンサルティングの依頼をしてくれたのですけど、なぜ依頼をしようと思ったのですか?
木村
あの時は会社の未来をイメージできなくて、自分の中でビジョンがつくれなかったのです。
それでいろいろな経営セミナーに行ってみたのですが、ピーンと来なくて。
でも、桐谷さんが登壇したあの講演は、自分の視野が開けた感覚を受けたのです。
あの頃は経営と自分の人生について迷っていました。
桐谷
社長というのはひとつのポジションであり、
「自分の人生が、どうしたらハッピーになるか?」ってところを悩んでいる経営者は多いですよ。
木村
そうですね。
会社も良くしたいし、自分もハッピーになりたい。
でも、どちらもハッピーじゃないなと感じる時期でした。
どちらも迷っていた時期だったので、とりあえず、どちらかでも答えが欲しいという感じでした。
でも最初は怖いと思いながら桐谷さんのオフィスに行ったのです。
桐谷
怖いと思っていたんだ?
木村
怖いっていうか、何言われるのだろうって。
1対1になったら何言われるのだろうって思ったんですけど、別に何言われてもいいやという気持ちで訪問しました。
で、初めて面談したときに、
「(会社を)なんで始めたのですか?」と聞かれて、
正直に言っても、ディスられなかった(笑)。
僕からしたら起業家とは、志があって、社会に貢献するために行動するというイメージがあったのですけど。
だから、桐谷さんは、そんな答えを求めているのかなと勝手に想像するわけですよ。
絶対ヒットしないだろうと思って行ったのに、受け入れてくれた感じがしたのです。
木村さんみたいな社長って実はすごく多いですよ。
世の中の社長って公の場では正論しか言わない。
自分、個人の幸せを封印して生きている人が多い。
でも、社長がハッピーでないのに、ハッピーな会社なんて創れない。
まずは、自分がハッピーにならないと。
それと、私は会ったときに木村さんてすごく正直な人だなって思った。
これだけ自己開示ができる人って珍しいです。
普通社長ってそんなに自己開示しないから。
しかも、初めて2人で会ったときに、
木村さんは自分のことをクソだとか幸せじゃないとか言うわけなんですよ。
27歳で社員30人の会社を経営するなんて、世間から見れば立派なモノです。
でも、社長になって売上1億円を超えて、社員も10名を超えてと目標を達成していくのだけど、自分はあんまり幸せを感じられないという人は、結構、多いのです。
だから社長を辞めたいと思っている人も今は、非常に多いのですよ。
木村
ああ、たしかに。
言われたことありますもん。社長やってくれないかって。
桐谷
だから、正直さが大事です。
社長ってポジションは、なかなか自分に正直になれない職種です、「弱音を吐いちゃダメ」「いつも自分が答えを言わなければダメ」「自分が見本にならなければならない」とか。自分で「自作自演」で、がんじがらめにしてしまっている。社員は、そんなこと望んでいないのに。
なぜ、これが言えるかというと、私がそれをやっていたから、よくわかります(笑)。
実際にコンサルティングを受けてみて
桐谷
最初のコンサルティング目的は、木村さんをハッピーにするということと、K-proをワンステージ上げるというテーマで始まりましたよね。
コンサルティング受けてどうでした?
そこからの心の動きとか会社の動きとか。
木村
コンサルティングが始まって、最初に桐谷さんが作ってくれた事業計画書を見た時に、俺なんでこれがわからなかったんだろうって思いました。
なんか、単純すぎてたどりつかなかったのだと気づきました。
それに、数字のところでは、知らないことがちゃんと係数化してあったので、
自分の中で明確になりました。
これやればいいんだと。
それで、未来が明るく見えるようになってきた。
お陰様で、大手クライアントが獲得できて、営業の新しい戦略もできました。
カウンセリングはリアルと妄想の分離
木村
桐谷さんと月初に話す前は、結構、悩んでる事が多いのです。
先月も、謎の悩み方をしていたのですけど、桐谷さんと話していたら謎のネガティブが消えたんです。
桐谷
カウンセリングは、その人が、その瞬間に持っている課題とか悩みを最初に聞きます。
「常に、今、どう感じているか?」にフォーカスします。
木村さんのテーマとしてはネガティブな感情が内側にあって、そのネガティブな感情のなかに妄想のネガティブとリアルなネガティブがあった。
リアルのネガティブは、明確で投資による欠損金。
もう一つの妄想のネガティブというのは「自分が妄想だと気づいた瞬間」にクリアになります。
気づくことが大事で、気づけば消えることが多い。
木村
そう、それを初めて知って...
もう、あれはやばかった。
あれはもう医者ですよ。
桐谷
それがカウンセリングの効力なのです。
心理学的に言うと、過去に終わったことなのに、取り残された感情だけが身体や思考にそのまま残っていて、同じような現象が起きると再浮上する。
まさにそれが、今回の、妄想のネガティブでした。
それは経営者だけでなく、大半の人が多かれ少なかれ持っている。
カウンセラーは、それを一緒に探求する人です。
ビジネスのコンサルティング×心理セラピー
桐谷
だからリアルと妄想を切り分けることが大事で、これが心理セラピーでは可能なのです。
これが、ビジネスセラピストという仕事なのです。
ビジネスのコンサルティングをやる人はいます。
心を楽にする、心理セラピストの人もいます。
ビジネスのコンサルティングと心理セラピー両面からサポートして伴走する、これが私の仕事なのです。
心理セラピーだけだとビジネスの押し上げに繋がらないこともあります。
でも、人生に対してエネルギーが湧き出ない要因に心理の部分が大きい。
心理セラピーは、アメリカが先進的なのだけど、日本は心理セラピーというと、どちらかというと鬱の人や病気の人が受けるイメージ。
本当は健全であればあるほど、心理セラピーで自分の妄想の部分をクリアしていくと実社会で成果を出しやすいのです。
私は、そこをビジネスに使っていきたい。
経営者は、外から見ているより、人生に悩んでいる人が多くて、
彼らがハッピーになるサポートをしたいなと思っているのです。
なぜなら、私が、26歳で経営者になって、悩み続けたから。
社長が楽しくないのに社員が楽しいわけがない。
先日は、K-proでブレストワークをやったのだけど、会議手法を変えることにより会社に「心理的に安全な場」が生まれる。
木村
なるほど、そういうロジックなのですね。
桐谷
どうでしたか?あのワークショップ
森崎さんは?
森崎
あのワークショップは、みんなの笑顔が溢れていたのが印象的で、普段より、アイデアの幅がひろがっていました。
軽い感覚でディスカッションできたことが、よかったです。
ワークショップについて
木村
俺にとっても会社が「安心する場」になりました。
いままでだと、社員になんか言われるの嫌だなと思っている事があったのです。
桐谷
社長って一番プレッシャーが強いポジションなのです。
私は、社長って一つの職業だと思っていて、
社長という職業があり、経理部長という職業があり、営業部長という職業がある。
社長というのも職業のひとつにすぎないと思っています。
あまりにも社長って偶像化されやすい。
社員から偶像化されやすかったり、親と投影されてしまったりする。
自分自身が社長はこうあらねばならないという枠に押し込める傾向がある。
まさに自作自演です(笑)。
その構造を理解してもらい、経営者を楽にさせてあげるのが私の役割だと思っていて、コンセプトは「経営者の伴走」なのです。
伴走する人がいると楽なのです。
例を挙げるならば、マラソンランナーの
高橋Qちゃんと自転車に乗っている小出監督みたいな。
あんな感じですね。
日本は、そういう存在があんまりいないのです。
社長のコーチっていう存在が。