いい会社とは、「自己実現できるスキルを身につけることができる会社」だと考えている。
「メンバー一人ひとりの幸福度をあげる」には、会社の目標と社員の自己実現においてオーバーラップしない部分にも光を当てようと決めた。
そこでできたのが、社内ビジョンである。
「メンバーの夢の実現を応援します」
そこで、今年から研修や教育システムを抜本的に変えた。
これまでの研修では、デジパの成長に向けた課題を話し合い、解決することを目的としていたが、それを個人のなりたい姿にフォーカスし、どう実現するかを考えるプログラムに変更したのだ。
特に、新入社員は最初の2年で自分らしく生きるための基盤づくりを集中的に行う。
その間は出社の義務があり、その間に自分のなりたい姿を模索しつつ、技術も身につけるのだ。
私が、毎回、研修講師の役割を果たす。
これが、今の私の大きな役割だ。
ベースとなるのは、週に1度行われるクレドミーティングだ。
月曜日の10時から行うのだが、これには訳がある。この時間はたいていのビジネスパーソンが本調子を出せていない。週末の余韻もあって、仕事にシフトできていないのだ。
下手すれば、夕方からギアが入るという人もいるだろう。
そうした理由から、月曜日の10時に定例の研修を行う。
頭と気持ちにスイッチを入れる儀式としても機能する。
まず、仕事やプライベート、メンタルのことも含めて、全員で先週あったことをシェアリングする。言語化を通して自分の状況を自覚するとともに、仲間の状況を知ることで、自らの成長に必要な刺激とする。
その後は、15の行動指針クレドのうち2つを選び、それをテーマにディスカッションをする。
また、年に2回は、伊豆で2泊3日の社内合宿を行うようにした。
ここでは、会社の課題はいっさいテーマにしない。やはり、個人の成長、なりたい姿にフォーカスする。
プログラムは、エニアグラムというアメリカで最もポピュラーな人間学、心理学を取り入れている。
エニアグラムという言葉はギリシャ語で、「エニア」は「9」、グラムは「図」を意味する。つまり、「9の図」という意味で、その名前の通り、9つの点を持つ円周と、それをつなぐ線から生まれる図形がベースとなっている。
もともとは宇宙万物の本質を象徴するもので、古代ギリシャ、古代エジプトに起源があるが、そこから派生して1960年代のアメリカで精神医学者や心理学者が発展させ、世界各国に広がったものである。
エニアグラムが目指すものは、自分を理解すること。「改革する人」「人を助ける人」「達成する人」「個性的な人」「調べる人」「忠実な人」「熱中する人」「挑戦する人」「平和をもたらす人」の9つのタイプから、自己理解に導くのだ。
そしてもうひとつの目的が、深い自己理解と自己受容があるからこそ生まれる他人への理解である。
つまり、自分の中の何を伸ばすのか、また改めるべきかを知ることで、成長の仕方や自分の活かし方、自己実現への道筋が見えるだけでなく、己を深く知ることが、結果として他人の理解と受容に導き、より良い関係を築くことにつなげていくというプログラムである。
研修講師には、エニアグラムの第一人者であるアメリカ人のティムマクリーンと、彼のパートナーの高岡よし子さんを迎えている。
今年の第1回目は、7月下旬に若手の社員とパートナーを中心に実施した。
これが、すこぶる評判がよかった。
今までと違い、会社の課題は一切扱わなかったので、個人の抱えている課題をシェアすることにより、自己探求が深まった。
今回は、ティムが自己探求に関するワークを沢山入れてくれたので、自然の中での海岸でのリラクゼーションワークもすごく気持ちが良くて、多くの人がリラックスして集中できる状態を味わえた。
過去のデジパの研修は、コミュニケーションをテーマにしたものが多かったのだが、自己理解を深めるというテーマで深堀する方が、取り組みやすく成長が加速化するような気がしている。
会社のあり方がどんどん変化しています。