デフレの時代の波が変わった

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総務省統計局が発表している消費者物価指数が上昇している
2014年3月は、前年同月1.6%アップで月次で見ると2013年6月から上昇を続けている
街中を見渡しても、人手不足のため牛丼「すき家」が一時32店舗を閉めたり居酒屋チェーン「ワタミ」にいたっては60店舗を閉鎖した
それと同時に人手不足を背景にアルバイトやパート求人の時給が上昇しており求人情報サービス各社の調査では、昨年12月の平均時給は前年を上回り、平均1千円に迫るという
3大都市圏の時給が過去最高となった調査もある
今、安い賃金で人を雇いスケールメリットで収益を出すというビジネスが成り立たなくなり始めたのだ
20年近く続いたデフレの時代が終わりを告げ、少子高齢化と物価上昇に対応していく時代に突入したと言えるであろう
デフレの時代は、お金の価値が上がるので大手企業はひたすらリストラでコストカットしていけば利益が出たので、
新しいものを生み出さずとも経営が成り立った
更に金融緩和によりゼロ金利が続いたので、タダみたいな金利で大手企業は資金調達が可能だった
だが、この低金利もそろそろ雲行きが怪しくなってきている
2014年3月での日銀の貸借対照表によると、総資産246兆円のうち204兆が国債でその内159兆円が10年以上の長期国債である
日銀の10年以上の長期国債資産推移を見ると、2003年年10月63.4兆円、2012年10月64.3兆円、2013年10月128.9兆円
2013年4月に横浜銀行頭取の寺沢氏は横浜市内で開いたアナリスト説明会で、満期までの残存期間が5年以上の国債を全て売却し、売却益を確保したことを明かした
これは黒田日銀総裁の異次元の金融緩和の結果だが、日銀が金融機関の長期国債を引き取り国債の最終処分所となっている
今後、長期金利が上がり国債が下がる見るのが常套だが、これからはお金の価値が下がり始めるので攻めの経営をして新しいものを生み出す必要が出てくる
大手企業も調達金利が上がれば、前期のような利益の出し方が困難になる

アメリカに70年間赤字になったことがないパッカー社というナスダック市場に上場している大型トラックメーカーがある
「世界一のトラックを作る」が経営理念なのだが、ここでの「世界一」は世界最大という意味ではない
顧客にとっての「世界にたった一台の大型トラック」という意味なのだ
一度トラックを販売したら、その顧客が買い換えるための次のトラックの改良点を5年かけて徹底的に仕込む
そうすると顧客は、パッカー社以外のトラックを買えなくなる
痒いとことに手が届くトラックが出来上がるからだ
だが、これを実現するためには、他のメーカーより数多くの部品を持つ必要があり、社員の熟練度も求められる
パッカー社の経営のポイントは、①社員の業績評価を3方で行い3ヶ月変えて実施する ②ジョブローテーションを行う ③枠をつくらない
「熟練度の高さ」を上げることにより勝負を決めてる
まるで、1980年代世界から「JAPAN IS NO1」と言われていた日本の経営方針に近い

グローバリゼーションという言葉に乗っかり30年になるが、温故知新の日本的経営を見直す時代になった
安い労働力を使った経営では、中国、他のアジア諸国と同じ土俵に乗ることになるからだ

これからの中小企業は、本来の技能、おもてなし精神に基づいた、オーダーメード型の経営が必要になってくるようだ