コーチングより大切なカウンセリングの技術

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小倉広氏の新著作、「コーチングより大切なカウンセリングの技術」を拝読した

今までの著作に比べて、今回は漫画が多用されていたので、今風の軽いタッチのものを想像したのだが、3章では「人間性心理学」の専門的な理論体系がビジネスパーソンでも理解できるようにわかりやすく書かれている

また、随所に出てくる事例が漫画になっており、カウンセリング、コーチング、ティーチングの違いがよくわかる

「カウンセリングは、相手が常日頃感じないようにしている感情、ビリーフにそっと触れていく」

「コーチングのゴールは目標達成、解決するエネルギーがないならスタートはカウンセリングが良い」という著書の記述は真髄を付いている

私も、自分のセッションでは、「カウンセリング」「コーチング」「ティーチング」の3つを使い分けているが、初期はカウンセリングに要する時間が長い

コーチングのゴールは目標達成なので、クライアントに解決するエネルギーがなければ、立てた目標は「絵に描いた餅」になるケースが多いからだ

まずは、クライアントが新しい行動を起こすことを止めている「感情」「ビリーフ」「起きた現象」に注目して丁寧に「聴く」

最近、耳にするコーチング導入企業で、「解決するエネルギーがない状態」で目標設定して成果が出ないというケースが多い

部下(クライアント)が持っているマイナスの感情に蓋をした状態で、いくらコーチングしてもリソースとなるエネルギーが出ないので行動が止まる

そして、行動が止まるので結果が思うように出ないのである

苦しいのだが、「苦しい」「辛い」が言えず、「頑張れない自分が悪い」「俺はもっと頑張れるはずだ」等、感情を感じないようにして分離した状態で走り続けている人は多い

著者が言うように、抑圧したマイナスの感情を表に出して人間性心理学でいう「自己一致」が起きた時に、本来持っているエネルギーが湧き出る

ゲシュタルト心理学では、「変容の逆説的理論」で変容は自己否定している時は起きないという論説がある

先日も、ゲシュタルト心理学の代表的ファシリテーターである、百武正嗣氏から

「今の私を否定して新しい私になることは出来ない」

他者や自分自身との失われたコンタクトを取り戻すことにより、ホメオスタシス(恒常性維持機能)を取り戻すと教授を受けた

つまり、「自己一致」が起きた時に、全人格的成長が起きるのである

ところが、私の新入社員時代である、1980年代、徹底的に自己否定を教えられ、「頑張る神話」が強かったので、私達世代は、マイナスの感情に蓋をした状態で「ネガティブな自分を認めてはいけない」、「自己一致」に向かうことに抵抗感がある

著者も企業研修では度々、その抵抗に出会うと言う

ところが、最近、企業においては、Googleが発表した「心理的安全性」が生産性を上げると言う論文が注目を浴び

心理療法においても「ポリヴォーガル理論」が注目を集めているが、「安心安全である」と感じることが、副交感神経の80%を占める迷走神経に影響を与え、人の対人関係行動を促進し、同時に心拍、血圧、呼吸などの生理学的状態に大きな影響を及ぼす、と述べている

まさに「カウンセリングマインド」が注目される時代に入ったと感じて止まない

そんな新しい時代を予感させる一冊である

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