ココロザスのパーソナルカウンセリングに参加してくれた起業家がこんな質問をしてくれた。
「社長は孤独だと言われますが、私も実感しています。世の中のほとんどの社長はそうだと思うのですが? 桐谷さんは、そんなことはないですか?」
「おー、すごい質問だー」と思った。
実は、起業時はスキルよりメンタルの方が悩みが多いのだ。
実は、私もデジパを創業した当時は、ものすごく孤独感が強かった。実質的な役員がいなかったので、全ての決定を自分で行っていた。
まさに、ワンマン経営である。
変化がおきたのは、社員数が10名を超えてからだ。
一般的な会社では、この人数を超えると組織図を変えるタイミングが訪れる。
ワンマン社長が全てのメンバー教育を行って、全てのプジェクトの決定を下すことに対する限界がやってくる。
ここから通常は組織の権限委譲が始まる。
ある会社では役員制度の出番がやって来て、創業からやってきた役員の手腕が試される。
ある会社ではマネージャー制度を作り上げ、5人で1チームの仕組みをつくりアーリーステージの脱却を目指す。
このタイミングで起きやすい現象は、幹部の離脱である。
例えば、創業期から一緒にやってきた役員が事業マネージャとしてメンバーをまとめられない、あるいは企業成長に能力がついてきてないという理由で役員として組織機能しない。
友達と起業したケース、深く考えずに身の回りのメンバーで役員をそろえた場合に起きやすい。
実際、デジパでもマネージャー制度を作ったのだが、この時期はいろいろなことが起きた。
美しい事業計画、社内制度、言葉は作れるのだが、結果がついて来ない。
この時期は、「これでもかー」というくらいマネージャー合宿、社員研修を実施した。
でも、自分の孤独感はなくならなかった。
自分の孤独感が抜け出したのは、創業7年目くらいからでこの時期は、役員制度が機能し始めて本当の「権限委譲」ができていた。
自分の中でも「あいつがやって無理ならあきらめよう」と開き直っていた。
役員それぞれが、担当分野において私よりスキルが高かったということに加えて、確実な信頼関係を私が役員に対して持っていた。
例えば、ベトナム法人のオフショア開発事業を現地法人の代表兼本社役員として藤田伸一(現在は旅キャピタルCTO)が担当していたが、もしあの役割を開発スキルのない私が担当していたら事業自体が立ち上がらなかったかもしれない。
もう一つ自分の孤独感を抜け出せた理由は、「人に依存する」というコツを身につけたからだ。
もともと、社長になる人は「自立心」が強く「依存心」が低い。
長男、長女も似たような傾向があり、「あなたは、長女なんだから弟の面倒を見るのは当たり前なんだよ」と、親にしつけられている人が多いからである。
私自身も典型的な自立型で、「人に頼むより自分でやる方が楽ちん」「人に何かを頼むなんて苦手」
元来はそんなタイプなのだが、そんな自立心が強いタイプの社長と言えども企業成長が起きてアーリーステージを超える時は、自分の過去のキャラクターを捨てて「自己リストラクチャリング」が起きる。
「経営は道であり、全ての答えは自分の中にある」と言われるが、その通りである。
しかし、アーリーステージを抜けた後も、何度か強烈な孤独感を味わった経験がある。
それは、「緊急で大きな危機が訪れた時」
ここは、合意形成を取っている時間がないので、社長は、先頭を切って火消しに走らなければならない。
だれが、反対しようとも、何を言われようとも、自分の決断を実行する必要がある。
アメリカでの「サブプライムローン」の事件が、私に取ってそうだった。
自分を取り巻く金融関連の流れが変わったので、危険を感じて「大鉈」を組織に対して振ったが誰も心から支持はしてくれなかった。
だが、その翌年に「リーマンショック」が起きた後に、「大鉈」は英断だと評価してもらえた。
「緊急で大きな危機が訪れた時」は、社長が決断する時と私は認識している。
ココロザスでは、オープニングイベントとして私の「パーソナルカウンセリング」を一人1回のみ無料で実施しています。
アーリーステージの経営に関しては、私も悩み続けましたのでシェアできることが多々あるかと思われますのでお気軽にどうぞ。