「始まり」としての「アンビエント・ファインダビリティ」出版記念カンファレンス(2)|業界トレンドウォッチ

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「始まり」としての「アンビエント・ファインダビリティ」出版記念カンファレンス(2)

「始まり」としての「アンビエント・ファインダビリティ」出版記念カンファレンスからの続きです。

「良いファインダビリティ」と「悪いファインダビリティ」

私たちのようなウェブマーケティング業界関係者は、クライアントの存在を、SEOやリスティング広告を通じて、ターゲットユーザに対して「findable(ファインダブル)」な状態にすることをビジネスの一つとしています。そういう意味では、ネットワーク上でのプレゼンスをいかにして確保するかという、「ファインダビリティ」をめぐる思考と実践に日頃からディープに関わっていると言えるでしょう。

ウェブマーケティングの視点から見たとき、本書の「プッシュとプル」と題された章が、非常に示唆に富んでいたので、もう少し理解を深めてみたいと思います。「同じ情報でも、受け手の状態によって、歓迎されたり拒否されたりする」。これが、ウェブマーケティング全般が直面している課題です。

例えば、ノートパソコン新製品発売のバナー広告やリスティング広告は、パソコン購入の予定が無いユーザーにとっては、ウェブブラウザ内の情報を混乱させる煩わしいプッシュ広告に映るでしょう。しかし、ノートパソコンの購入を検討しているユーザーにとっては、単なる広告ではなく有益な情報としてクリック行為を誘発する効果をもたらします。

つまり、「ファインダビリティ」という問題には、「存在」に関わる次元のほかに、「良いファインダビリティ」と「悪いファインダビリティ」という価値に関わるレイヤーが存在するということになります。

ウェブマーケターのミッションは、「良いファインダビリティ」を最大化し、「悪いファインダビリティ」を最小化することであり、言い換えれば、「情報を探しているユーザーと、提供する情報との究極のマッチングポイントを発見すること」が目指すべきゴールになります。

そしてマーケティングはコミュニケーションに接近する

ライフスタイルや情報通信手段が多様化する中で、ターゲットユーザ像を的確に把握することはますます困難になっています。ユーザーは、移動中の携帯電話の小さな画面でウェブサイトを閲覧している可能性もあるし、目の不自由な方が音声ブラウザで閲覧している可能性もあります。また先の例で言うと、ノートパソコンを探しているユーザーの中にも、価格面を最優先の条件に考えているユーザーもいれば、スペックやアフターサポートの充実を購入の重視ポイントと考えているユーザーもいるでしょう。

アフターサポートを重視するユーザーに対して、「激安ノートパソコン!」という広告を露出したとしても、「ファインダビリティ」という一義的な役割は果たすかもしれませんが、必ずしも「良いファインダビリティ」にはつながりません。

「良いファインダビリティ」を実現するためには、さまざまなユーザーのシーンにマッチした内容なり方法で、情報を「findable」にすることを考えなければなりません。それは自ずとロングテールへの対応になるでしょう。

市場とは対話である。

「アンビエント・ファインダビリティ」日本語版 P.154

ウェブマーケティングは、面と向かった他者との会話に似ているかもしれません。

会話においては、相手が今何を考えているのかを表情や態度を読み取りながら、言葉を選んで発話します。そして、相手の話の内容に応じて、こちらの話も柔軟に変化させながら会話を広げていきます。

ウェブマーケティングも、ユーザーの関心や行動を先取りする「イマジネーション力」と、ユーザーの情報取得シーンに応じて最も適切な手法・内容で情報提供する「コミュニケーション力」が要求されます。ウェブマーケティングとは、ユーザーとのインタラクションにおける「コミュニケーション最適化」のプロセスなのかもしれません。

「アンビエント・ファインダビリティ」が提示する世界観は、情報発信者と受信者の関係性に新たな地平を切り拓く、まだまだたくさんの重要なメッセージを含んでいるように思います。

小雨の降る中、御茶ノ水のデジハリに集まった皆さんは、非常に濃密な150分を過ごされたことと思います。この一冊をきっかけに、さらに議論を深めていきたいですね。主催者の皆さん、参加者の皆さん、お疲れ様でした。

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