Yahoo! JAPANのニューズウォッチ社買収は、新聞業界再編のプロローグとなるのか(2)
2006年4月29日
Yahoo! JAPANのニューズウォッチ社買収は、新聞業界再編のプロローグとなるのかからの続きです。
Yahoo! JAPANは、ニューズウォッチの「技術」と「新聞社のコネクション」を手に入れることによって、どのような展開を考えているのでしょうか。想像力を膨らませて、未来における2つのストーリーを考えてみました。
1、影響の範囲がYahoo! JAPAN内部に留まる場合
ニューズウォッチ社の「技術」が活用される一方で「新聞社とのコネクション」がそれ程利用されない場合、ニューズウォッチ社買収の影響は、Yahoo! JAPAN内部に留まるでしょう。
ニューズウォッチ社持つフィルタリング技術により、Yahoo!ニュース内のニュースの分類や関連付けは自動化が進み、作業効率を向上させることになるでしょう。また、Yahoo!ニュース以外のコンテンツにも、自動分類された関連性の高いニュースが表示されるケースが増えるかもしれません。すでにGoogleが行っているように、Yahoo! JAPANの検索結果画面にも、検索キーワードと関連するニュースの見出しが掲載されるようになるかもしれません。
検索エンジンは、「ユーザーの関心」をキーにして、あらゆる関連情報やサービスをマッチングさせ、立体的な情報体験を提供する方向に進んでいます。ニューズウォッチ社の技術は、ユーザーと情報のマッチング精度を高め、Yahoo! JAPANの媒体価値向上に貢献するでしょう。
2、Yahoo! JAPANと新聞社間の関係にまで影響が波及する場合
あくまで想像上の話と前置きしておきますが、Yahoo! JAPANは、新聞社との現在の関係を変えたいと考えているかもしれません。
Yahoo!ニュースは、新聞各社に記事利用料金を支払うことによってニュース記事の掲載を行っています。新聞社に支払われる記事利用料金の詳細を知ることはできませんが、新聞社にとってニュースというコンテンツは最大の資産であり、それを外部サイトに提供するに際には相応の対価を求めるはずですなので、それなりの料金が支払われていると思われます。
一方で、Googleは、新聞社のニュースサイトから自動的にニュースをクロールして、Google News上で公開しています。Yahoo! JAPANのように自社サイトのコンテンツとしてニュースを保有するのではなく、Google Newsは、新聞社のサイトの各記事に直接リンクをはっているだけです。
Google Newsの記事利用許諾関係がどうなっているのかは謎の部分が多いのですが、私は、Googleと一部の新聞社の間には公になっていない契約関係があるものと思っています。ただし、Googleと新聞社の間で記事利用に関して金銭的な授受があるとしても、Yahoo! JAPANのようにニュースをコンテンツとしてサイト内で利用するのとは違って単にリンクをはっているだけなので、その料金はYahoo!に比べ少額で済んでいるものと思われます。
Yahoo! JAPANは、このGoogleと新聞社の関係と同じようなスタイルに変更し、記事利用料金の負担を減らしたいと考えているのでは無いでしょうか。
ニューズウォッチ社のサイトをご覧いただけると一目瞭然ですが、これはGoogle Newsそのものです。しかも、ニューズウォッチ社は、ソース提供元であるすべての新聞社・テレビ局から許諾を取っています。
私は前職が新聞社と関連の深い仕事をしていたのでよく分かるのですが、新聞社からデジタル分野での記事利用許諾を取るのは非常にやっかいです。新聞社が自社で運営するニュースサイトと競合するサービスや、新聞本紙の購買に影響が出るようなインターネットサービスには、新聞社は強い拒否反応を示します。
ニューズウォッチ社は、昔から新聞記事のクリッピングサービスを提供していたので、新聞社との関係も構築され、デジタル利用に関してもその信頼関係の延長線上で許諾が出ているのでしょう。Yahoo! JAPANが、ニューズウォッチ社が持つこの「新聞社とのコネクション」に魅力を感じた、ということは充分想定しうることです。
Yahoo! JAPANは、Google Newsに近い技術とセキュアなニュース記事利用許諾を入手しました。これらを利用して、Yahoo! JAPANは、Yahoo!ニュースを現在のニュースコンテンツ保有型からGoogle Newsのような新聞社サイトへのディープリンク型に変更することで、新聞社に対する記事利用料金負担を減らす方向に動くかもしれません。
もちろん、Yahoo! JAPANからの高額の記事利用料金をあてにしている新聞社が簡単にスタイルの変更を許すはずがありませんが、そのためにも「新聞社とのコネクション」が意味を持ってきます。Yahoo! JAPANは、新聞社との交渉のためのカードを手に入れたのです。








