ウェブサイト制作現場の分業化がもたらすもの
2005年7月 9日
2005年7月1日、デジパ株式会社はオフィシャルサイトをリニューアルしました。
今回のリニューアルは、主に社内スタッフ3名でプロジェクトを組みました。このプロジェクトに参加した中で、今更ながらウェブサイト制作の現場において、「分業化」という流れが作業の効率化と制作物のクオリティを両立させる上で今後重要なファクターになっていくであろうことを実感しました。
リニューアル完了から1週間、すこし落ち着いたところで、今回のプロジェクトを振り返って、備忘録的に書いておこうと思います。
今回のリニューアルプロジェクトで主に作業を行ったスタッフの役割分担は下記の通り。
1. ディレクター(兼ライター)
制作のディレクションを担当。サイト全体の構成、各ページのコンテンツ内容の企画・選定など、プロジェクトには必須な存在。また、ライターとしての役割も持ち、サイトに掲載されるテキストはすべてこの担当者の責任で編集されます。
2. デザイナー
ウェブサイト全体のビジュアルデザインを担当。ページ全体のデザイン、各種画像の作成等を行いました。とにかく見た目の作りこみのみに集中するのがこの担当者の仕事。
3. コーディング・システム担当
これが私。今回のリニューアルでCMSとしてMovableType(以下MT)を導入しましたが、私の仕事はディレクターから渡されたサイト構成とデザイナーに渡されたデザインを、MT上でどのように実際の形にしていくかを考え、コーディング、MTテンプレートの制作、MTのセットアップ、ウェブサイト構築等を行うことでした。
今回、この3人の間では明確に役割分担を決めました。
自分の責任以外の部分は基本的に考えないこと。つまり、デザイナーはその後のコーディングなどについては一切考慮せず、とにかく自由にデザインすることに集中。ディレクターも「CMSにMTを使うから……」などといったことは考えたりせずにウェブサイトの構成、コンテンツの中身を作り、大まかなイメージは伝えながらも、基本的にデザイナーが作るものには口を出さないという制作スタイルでした。
コーディングや、MTでの構築を担当する私も同様。
ディレクターからのウェブサイト構成案を元に、MT上での構成図を描き、デザインデータから必要な画像を切り出し、XHTMLやCSSを書いてMTテンプレートに落とし込んでいく過程は、すべて自分の判断と責任で行うことができました。
従来、ウェブサイト制作の現場では、デザインとその後のコーディングを同じ人が行うことが多く、デザインも出来てHTMLも書ける人を「ウェブデザイナー」と呼ぶことが多いと思います。これは制作会社の規模が比較的小さい場合は特に顕著で、場合によってはディレクションからデザイン、コーディング、Perlなどのプログラミングまで一人でやっているような場合も少なくありません。(実際私もフリーのときはそうでした……)
私はこのような、1人で全てを賄うという作業手法を否定する気はまったくありませんが、どうしても人には得意なことと、そうでないことがあります。すべて一流という恵まれた人はそう多くはありません。個人のスキルを明確に分類し、プロジェクトに応じてそれぞれの分野でのスペシャリストを組織するという手法が今後はウェブサイト制作現場の主流になるでしょう。
そうなると、個人でやっている制作会社などでは不可能なことだと思われる方もいるかもしれません。
しかし、これは別にそれぞれの分野のスペシャリストを自社で抱えないといけないという話ではありません。それぞれ得意分野を持った小規模の制作会社同士がネットワークで繋がることで実現が可能になります。
以前のエントリーでも書きましたが、制作サイドに求められるレベルは年々向上しています。デザイン力はもちろん、ユーザビリティ、アクセシビリティの考慮やXML等の新たなフォーマットへの対応、最近顕著なウェブ標準という考え方も無視できません。1人がそれらすべてを高レベルで満たすのは容易なことではないのです。「広く浅く」あるいは「広く深くを目指す」より「狭く、より深く」が重要なキーワードになっていくのではないでしょうか。
今回のリニューアル作業でも、デザイナーの作るデザインを見て「僕には作れない……」と思いましたし、ディレクターから出てくるコンテンツのアイデアとその編集能力を見て「僕にはできない……」と思うことが多々あり。自分の「より深く」追い求めるべき分野について、改めて考えさせられると同時に、ウェブサイト制作における「分業化」に対して確信を深めた良い経験となりました。








