ティムさんとのお話では、よく「自己探求」という言葉が出てきます。私たちが日々抱えている不安や恐れなどの感情を生み出す考えは、果たして「本当なのでしょうか?」と問いかけることが、探求の第一歩。第2回では「自己探求」をテーマにお話をうかがいました。

ティム・マクリーンさん

ティム・マクリーン(Tim Mclean)さんのプロフィール

有限会社シープラスエフ研究所 代表取締役
YPO(Young Presidents'Organization)トレーナー
エニアグラム研究所公認講師。同研究所[日本]代表
国際エニアグラム学会(IEA)認定講師

アメリカ生まれ。カリフォルニア州立大学卒業。テンプル大学大学院教育学修士課程修了。
ホスピス・カウンセラーを務めた後、得度し、1981年に禅を学びに来日。桜美林大学等の講師を務める。一般や企業、経営者団体、地方自治体、教育・医療機関などに対し、研修やワークショップ、講演などを多数実施。

トランスパーソナル心理学研究所にて集中講座、プロセス指向心理学(集中トレーニング)、エニアグラム(エニアグラム研究所の公認講師)、バイロン・ケイティ・ワーク(公認ファシリテーター)、ホロトロピック呼吸法(公認資格取得)、コーチングなどを習得。
著訳書に、『エニアグラムで分かる9つの性格』(マガジンハウス共著)、『エニアグラム〜あなたを知る9つのタイプ』(リソ&ハドソン著、角川書店、共訳)、『ザ・ワーク』(バイロン・ケイティ著、ダイヤモンド社、共訳)などがある。

「それは本当なのでしょうか?」
自分の考えに問いかけて囚われを探求していく

(聞き手/デジパ:桐谷、木下)

桐谷:前回「人間の多様性」を大事にすることをGoogleが成功しているというお話がありました。
どのようにGoogleがこれを活かしているのか、もう少しお話を聞かせて下さい。

ティム・マクリーンさん

ティム:最近GoogleのHRのトップの方のインタビューを見たのですが、彼がGoogleの社員を雇うときには、まず経歴はあまり見ない。その人に、自分を振り返り、自分を大事にする、そして学ぶ姿勢がどのくらいあるかを見ているんです。つまり自己探求のできる人、ということだと思います。
高い専門知識ではなくて、専門知識もあるけれど、人生の経験が豊富な人を好みます。世界一周したとか、あるいは会社を立ち上げて失敗して、でもそこから何を学んだかとか。そういう意欲や学ぶ意欲をまず大優先しています。
そして次にやはりコミュニケーション能力とか、チームで主体的に関わる能力とか、そういうことを見ています。

第一優先は、その人の学ぶ意欲と創造性なんです。
そういう人がグループにいると、リーダーはある意味で自由に任せるわけですよ。だからいかにチームの良さを応援して信頼していくか。
これは駄目、これは直していかなくてはいけないとか、何が問題なのかということに関心を持つといった意識はもちろん大事ですが、一方でその人の良さを引き出すと何が可能なのか、大変な状況の中で我々のチャンスは何なのかということに意識を向けていくことも大事だと思います。

具体的にいうと、自分が感じた問題に対して、それは本当なのか?その背後にあるビリーフは何なのか?ということを考えるんです。

本当の幸せは過去でも未来でもなく
「今」の中から発見することができる

ティム・マクリーンさん

桐谷:背後にあるビリーフですか?

ティム:そうです。たとえば、「今度のプロジェクトは失敗する」という恐れがあるならば、それはなぜなのか。
リソースが足りないから?
皆が積極的ではないから?
新しいサービスをお客様が理解してくれないからか?

こういった色々な原因、背景について、思い浮かぶと思います。バイロン・ケイティ・ワークという手法を使って説明すると、自分にストレスをもたらしている考え、たとえば「人材不足だ」について、次のようにまず問いかけていきます。

「それは本当でしょうか?」
「その考えが本当であると、絶対言い切れますか?」
「その考えを信じているとき、自分はどういう気持ちになるのでしょうか?」
「その考えがなければ、どう感じますか? 何が可能になりますか?」
と一つ一つ、自分が囚われている考えを探求していきます。

そして今度は取り組んでいる文章を、反対の意味をもつ文章に置き換えて、確かにそうだという理由を探していくんです。
「人材が足りない」のではなく、「人材は足りている」と置き換えてみる。
何故なら、別の部署に人を出してもらうことは可能だから...といったように。
このように視野を広げれば、可能性を伸ばせるわけですね。
だからストレスを引き起こす考えの中には、置き換えをしてみると宝が眠っているんです。

桐谷:マイナスなことには実は宝がたくさんあるんですね。

ティム:そうなんです!
本当の幸せ、本当の充実した未来は、「今」の中に発見できます。
柔軟性を持って自分のマイナスな気持ちと向き合うことができ、理解することで、本当に豊かさに繋がる。本当の成熟した人間になるんです。
私たち人間は、素晴らしい創造性と考える力をたくさん持っているんですけれど、まだ幼い部分がたくさんあると思うんですよ。まだ10代の子どもみたいに恐れと欲求の中に囚われているんです。

(次回へつづく)

第1回目のインタビューはこちら

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