インターネット事業にリソースを集中させることで、再生をはかっているライブドアグループ。事件以後その先頭に立ってグループ全体を牽引してきた平松庚三社長が2007年末をもってライブドアホールディングス代表取締役社長を退任される。そこで平松氏にこれまでのこと、そしてこれからのことについてうかがった。
- 桐谷
-
私どもの会社はいま麻布十番なんですが、ついこの間まですぐそばのビルにいました。
- 平松
-
そうですか。私は18年前はじめて転職した先がこのビルでした。ソニーからアメックスに行ったときのことです。ここに半年いてから荻窪のアメックスタワーに行きました。なにか不思議な縁というのがありますね。

(上記画像右側)左から、ライブドアホールディングス平松氏、デジパ桐谷
- 桐谷
-
著書を拝見しますと、ほかにも不思議な縁がたくさん載っていますね。
- 平松
-
ホントですね。弥生の全株譲渡の相手、MBKパートナーズの社長と話をしていたら、70年代後半、僕がソニーの係長にもなる前の話ですが、彼もニューヨークにいて、コロンビア大学からスミス・バーニーに入った。そのスミス・バーニーがソニーのニューヨーク証券取引所における幹事証券会社で、いっしょに仕事をしていたんですね。そういう目に見えないものが結構あります。
2001年の12月にインテュイットから95億で弥生を買って、それからそれをライブドアが230億で買いました。当時高い買い物だと言われました。でも今度740億ですから。これから1000億以上をめざせと檄を飛ばしてきたんですけどね(笑)
- 桐谷
-
あれは結構衝撃的でした。平松さんは弥生をMBO(Management Buyout)されて、それが縁でライブドアグループに入り、それから事件があってライブドアの社長を引き受けられたわけですが、その弥生を売却されたのはとても興味深かったです。
- 平松
-
たしかに結構いろいろ言われますね。「弥生っていたらベイビーじゃないですか」とか「ベイビーを売却しちゃって寂しいでしょ」とか。でも、まったくそういうことはないですね。自分が7年前に入って、6年前にファンドと組んで95億で買い取ったものを、230億の企業価値でライブドアに評価してもらった。さらに今度は740億になった。結果MBKパートナーズに決まりましたが、世界の名だたるところが同様の価値を認めてくれたわけですから、非常に誇りに思います。社員たちにも「君たちがここまでやってきたんだから、誇りを持とう」と、そして「さらに上を目指そう」と言ってきました。

- 桐谷
-
そこは、ライブドアのポータルビジネスであるとか、Web2.0的なサービスに経営を集中させていこうということでしょうか。
- 平松
-
いまライブドアのブログは9月末で220万強くらいかな、ダントツのトップですね。ライブドア事件で毀損しましたが、毀損しなかったものが2つあって、ひとつが弥生。弥生はブランドとして確立していたので事件後も伸ばしました。もうひとつはライブドアのポータルです。確かに広告の方はもの凄く落ちました。でもPV(Page View)とかUU(Unique User)とかそこのところはずっと上がりつづけていました。そこは誇りに思います。
今期ポータル、ネットワーク事業もビジネスとしては大変なところでしたが、4月からホールディング会社と完全子会社にして軽くなったことで、なんとか単月黒字になっているんじゃないかと思います。事業というのは単月黒字の繰り返しですから、これが出れば次の年の通期というのもだいたい見えてきます。これからがホントに楽しみです。
持ち株会社というのは、売ったり買ったりということよりも、グループ全体の企業価値を上げるのが最優先課題なんです。それと同時にいま約700億の訴訟を抱えているので、訴訟への対応とグループの価値を上げること両方が必要です。そして売却しても会社全体の価値は変りません。そうした折にマーケットから非常に高い評価をいただいたので、ホールディング会社のCEOとして、手放すタイミングがベストだったということがひとつ。もうひとつが、弥生は100%ライブドアホールディングスの子会社ですが、親会社は証券取引法違反で有罪となっています。彼らにいつかIPO(株式公開)という気持ちがあっても、100%の親会社が証券取引法違反の有罪ではIPOというのはありえません。ですから彼らに独立という選択肢を与えるという意味でも非常によかったと思います。
よく「万感に迫るものががあるでしょう」とかいわれますけれど、僕は社会に出て、92年からCEOを4社やりましたが、弥生は最高の仕上がりだったと思います。いいチームに恵まれたし、いいパートナーに恵まれました。ただ、ずっと雇われ経営者で、企業の再生を生業としていましたので、僕も自分の会社をやりたいというのはあります(笑)






