日本技芸 代表取締役 御手洗大祐氏|業界インタビュー

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デジパ

社長になってちょうど2年で日本技芸を設立されるわけですが、そのきっかけは?

御手洗

もともと前の会社を売却してCNETの社長になるときも「やって3年でしょう」と言っていました。RSSの導入、ニュースの記事にトラックバックを受けるなど、メディアとして新しい切り口は出せたと思っていましたし、一定のポジションは作った、もういいだろうと(笑)。

デジパ

Web2.0とかネット環境の変化もあったのでしょうか?

御手洗

Web2.0は別に新しい概念ではなくて、インターネットを当初からやっていた人はそういうことを考えながらやっていた、それがようやく構造として実現したということです。

広告に左右されないユーザの意見を見る側が自分の目で判別するようになると、マーケティング力やお金を持っている企業だけが強烈に物を売れるのではなくて、いいものはちゃんと世の中に伝わるようになる。そしてお互いコミュニケーションができて、それを増幅できる。このようなユーザ主導で行われていくカタチが、もともとインターネットをはじめていた人たちの理想としてあったと。これまでのマスメディアの構造と違うのがインターネットメディアの構造です。

でも、インターネットで最初に始まったメディアというのは、米国ヤフーに代表されるように従来のマスメディアの焼き直し版のようなものが主体で、そういう意味で言うとあまり面白くなかった。ところが、Googleがアドワーズ、アドセンスをはじめたことでマイクロコンテンツにお金が発生する、些細な情報でも出すことによってインセンティブが発生してくるという状況が生まれました。そして、それをまとめてひとつの情報として見せて編集価値を付加していくことができるのが見えた。これはもともと僕たちが目指していたことだと。であれば、もう一度そこに立ち返って何かやりたい。いったんクリアして、今までの経験をベースに新しく事業をやっていこうと思ったのです。

デジパ

その他いろいろな会社の取締役などに就任されていますが。

御手洗

CNETを辞めて新しいことをはじめた理由はもうひとつあって、いろいろな会社の重要なポジションにいらっしゃる方とお会いすると、特にIT産業でない会社で「インターネットで何か展開しなければならないと思っているんだけれども、何をしていいのかわからない」、「社内にそういうことを設計できる人がいない」、「なんかやってくれないか」という話がありました。そうした今ある事業をネットにのせる、あるいはつなげることによって新しい価値を作るのは、非常に面白そうだなと考えていました。あとはインキュベーション。いままでの経験を活かして、これから新しいビジネスをやりたい人を支援することです。

デジパ

アジャイル・メディア・ネットワークとかですね。

御手洗

ヘッドとテールの中間、ヘッドの落ちかけのところ、間の部分というのは非常にビジネスとして価値があるんじゃないかと考えていて、最近はマジックミドルとか言うらしいんですが、ブログ、パブリッシングの技術が発達したおかげで、どこか一所に集まって編集作業をしなくてもメディアが作れる時代になってきました。

ただそういうメディアには、広告を取る、ビジネス化していくところがノウハウとして足りないところがありました。いかに多くの読者を獲得するかということだけでなく、クライアントの視点であったり、お金を出してくれる人の視点が十分でないケースが多いんです。それを外から提供することで、メディアがうまくいく可能性があることが見えていました。

ちょうどCGMが言われ始めていた時期だったのですが、一方で得体の知れないブログに広告は出しにくいという慎重な姿勢もあって、混沌とした状況にありました。

しかしインターネットのオリジナルな部分に立ち返って言うと、個人の力への回帰を中心としたパワーシフトによって、主体的にいろいろな人が活動できる基盤が作られるのは本来いいことなわけです。そういうところで頑張って活躍している人を支援する事業をできればいいなと考えていました。また企業としてはユーザと安心してコミュニケーションしたい。そのための基盤をどう作れるかを考えているので、うまく両立するところを本来作っていかなければならない。

たまたまアメリカにもFederated MediaWeblogs, Inc.など、そういう事業法人を先行してはじめている会社がいくつかあったので、そこにならってモデル作りをはじめました。

今回のようなビジネスに関して言えば、芸能人であるとか世の中的に認知のある人ではなく、まさしくコンテンツで自分の立ち位置を作ってきた信用あるブロガーを中心に立ち上げていくというのが重要なポイントですね。

御手洗大祐氏写真

デジパ

いま注目されている、あるいはこれから注力されるのはどんなところですか?

御手洗

クリップライフという動画共有サイトをNTTさんに提案してやらせて頂いています。こうしたリッチメディアは、ポッドキャスティングとかビデオキャスティングなどいろいろありますが、文字以外の表現に関してどういう風に広告をつけていくのか、ビジネス化していくのかということをこれから考えていかなければならないと思っています。また動画だけじゃなくて、テキストなどとどう組み合わせてどういう風にメディアを作っていくのかということにも興味があります。

僕的にはアウトドアというか、看板とかがネットとつながると新しいものが出てくるんじゃないかと考えています。ネットの中だけで閉じているのではなくて、実際のビジネスや生活がつながるシーンをいろいろ考えながら、どんな新しいメディアができるかなと思いをめぐらしています。

目先より、もう少し先のことも考えています。もともとこの会社を作ったのも、もう少しじっくりやりたい、3年先とか5年先を見ながら、何がいいのか、どういう社会や構造があるとみんなハッピーになれるかを考えながらやりたいと思ったからです。

理想がどういうところなのかということを考えながら、それに近づくために何をするのかということがすごく大事です。現実を見ながら、しっかり理想に至るまでのマイルストーンをどれだけ描けるか、積み上げられるか。

僕は10年有益な時間を過ごしたとも思うんですが、一方では無駄な時間を過ごしたとも思っています。そもそも最初に考えていたことが正しくて、それを検証していく過程を10年していたような気がするからです。

最初に持っていた信念やポリシー、理論みたいなものをずっとコアに持っていて、そこから発想していくことが大事で、それがなぜ今世の中でうまくいっていないのか、どうしてズレているのか、ということをいろんな人とディスカッションし、経験する中で埋めていく作業が重要なんだろうと思っています。

デジパ

本日はお忙しい中ありがとうございました。

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