マイネット・ジャパン 代表取締役 上原仁氏|業界インタビュー

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書籍「口コミ2.0-正直マーケティングのすすめ」を上梓され、アルファブロガーとしても活躍されている上原仁氏に、口コミマーケティングとソーシャルニュースサイト「newsing(ニューシング)」、さらに2007年のキーワードについてうかがった。

対談

株式会社マイネット・ジャパン 上原仁氏 × デジパ株式会社 桐谷晃司

桐谷

お書きになった「口コミ2.0-正直マーケティングのすすめ」ですが、先日八重洲のブックセンターへ行ったら平積みされてました。いや、凄いですね。

上原

ありがとうございます。ここ数年でWeb2.0という環境変化が起こって、その中で口コミに特化したマーケティングに注目が集まってきた。しかし実際にやった人もいなければ、やったと思ったら大失敗をしているひとばかり。なぜでしょうか、というのがまず命題としてありまして、「環境はこういう風に変化してます。失敗したのはこういう理由です。じゃあうまくやるにはどうしたらいいのか」ということについてこんこんと解き明かした本です。

桐谷

ここのところの環境変化は早かったですね。

上原

ええ、急でしたね。2003年の段階で、ウェブで情報発信している人の数は40万~50万と言われていました。そういう人たちがいろいろなウェブサイトに行っては情報発信をしていたのですが、それがこの3年間で600万人くらいになった。増えた550万人はウェブの変化を体感しながら過ごしてきているので、その中にいる人は当たり前のことのように分かっている「空気」のようなものがあります。それを味わっていなくて分らない人たちに、ウェブの中で活動しようとするときのルールというか、どういうコミュニケーションを取ったら良いのかを本の中では解説しています。

桐谷

結論はタイトルにある「正直」、嘘をついても全部バレますよと。

上原

バレやすいというのはネットを十分に活用していらっしゃる方々の感度がいいというのもありますけど、検索によって到達した先のところでたくさんの比較対象を見比べることができるようになってきました。ブログの普及でそこに口コミもついてくるようになったので、どこかに悪い噂が立っているとユーザーが先にそれを見つける可能性が高くなっています。つまり検索、比較、口コミという3つの段階の中で全部バレてしまうのです。

それを可能にしているツールはブログと検索ですが、その2つがやったことというのは垣根を下げたことにつきます。従来ブログのようなCMSは、100万円くらいで法人向けに販売されていました。しかし今は個人向けに無料で提供され、しかも開いて、書いて、送信するとウェブサイトがすぐできる。こういう状況になったことが一気に口コミを加速させている理由です。

上原仁氏写真

桐谷

2007年のインターネットはどうなると思いますか?

上原

2007年では、PCウェブの市場はいったん落ち着くと見ています。ブログに続いて、ポッドキャスティング、動画共有などのサービス、ツールがそろってきましたが、音声共有、動画共有については、ブログほど一気に広まらないと思います。というのもホントにみんなが喜んで共有し合うものを、収録して編集してアップするのはそう簡単ではない。

日本人は文字教育はしっかり受けていますけど、音声や動画編集の教育は受けていませんからね。ツールとしてはいいものができていますが、ユーザーさんはそこまでまだきていないじゃないでしょうか。YouTubeとかが流行ったのは、結局プロの方々の著作権を蹂躙した結果なので、本来あるべき姿ではないです。

いろいろなもの出てきて、それらが本来の姿に戻ろうとするのがこれからかなと思ってます。たとえばミクシィのなかでいろいろ事件があったり、問題が起こったりして、運営側や社会がインターネットコミュニティをどう受け入れていったらいいのかを考え、対策を講じる期間が2007年から2008年まで続くだろうと見ています。

桐谷

なるほど。音声や動画はまだ先と見ているわけですね。

上原

ただ私はクリティカル・マスを越えるかどうかという論点でお話ししています。ブログをやっている600万人くらいの人たちの中で、画像共有あたりがブレイクして前に進む可能性はあると思いますし、動画共有もある程度流行ると思います。ただ、2007年の段階でそれが社会的な影響力を与えるまではいかないのではという意味です。

桐谷

そうするとやっぱりニューシングのようなテキストのほうが(笑)

上原

そうですね(笑)他人様のブログやニュースに対しての解説、論説、そしてみんなの意見を集約していくタイプのサービスがやはり次に来るかな、と思っています。情報発信者がいて何かを発信していくというのはパワーのいることで、そういう人たちはそうそういないんです。

私は「1:9:90」という理論を持っていて、それは発信者=人に見られることとか、人に対して訴えていくことに対して欲求がある人が1%。発信者のまわりでちょっとだけ発信したいマイルドなコミュニケーション派が9%。残りの90%はROMの人という感じになっていて、いまのCGMは1+9の10%によって構成されていると考えています。ですから、ここから先はより垣根が低くなって90%の人たちにとっても参加しやすかったり、面白いと思われるようなサービスが求められる。そこにニューシングがマッチするかなと。ニュースを読みながら面白いと思ったらワンクリックしてピックアップしたり、並んでいるニュースに○×をつけることで自分の意志を表明できる。このような垣根の低さを提示していくことによってサービスが普及していくと考えています。

上原仁氏、桐谷晃司写真

桐谷

ニューシングを考えたのはいつごろですか?

上原

考えたという意味でいうと、今から1年くらい前ですね。考えるにあたっては、ひとつは「人が情報フィルタ」ということ、もうひとつは「垣根を低くする」こと、の2つの思想がありました。

情報フィルタというのは、たとえばRSSリーダーというのが2004年、2005年あたりから出てきて、情報の早い人たちから重宝されて普及したのですが、情報のアンテナの高い人たちはどんどん新しい情報源を見つけてしまうので、いつのまにかRSSリーダーが膨大な量の情報で溢れるようになって、一日見なかったら二度と見たくなくなるくらい悲惨な状況になります。そこで誰か整理してくれない?という感覚なったとき、その整理を誰かではなく、みんなでやればいいと考えました。

みんなが面白いと思っているニュースソースを寄せ集めてきて、○だ×だワイワイとさわいでいく。騒がれた記事ほどポイントが上がってランキングされていく。そういう人の活動がそのまま情報フィルタリングになるサービスがよいのではないかと。

垣根を下げるというのは、とにかくできるだけ簡単にインターネットに参加できる手段にすること。今回の波では600万人ぐらいがインターネットに参加しているわけですが、本当言うと国内1億人くらいに参加してほしい。そのためにワンクリックでのピックアップや○×式といった、先ほど説明した90%の人たちが参加できるようなサービスにしたい。参加しないとインターネットのソーシャルなメリットは享受しにくいですから。

桐谷

もちろん情報感度の高い人にとってもすごくおもしろい。

上原

いまは普通のニュースに飽き足らなくて、もう半歩前に出たニュースをチェックしたいと思っている人が来る場所になっています。いまのニューシングの姿、単なるニュースコミュニティではクリティカル・マスを越えるとは思っていません。というのはいまは誰にとっても見えるニュースが同じになっているからです。この状態ではちょっと似たような感覚を持った人たちだけが集う感じです。それをひとりひとりの嗜好に合ったニュースランキングが出るように開発を進めています。

ただこれはMyヤフーやグーグルパーソナルとは違います。自分であれこれカスタマイズをする必要がありません。たとえば私が桐谷社長のことを信頼できる情報ソースだと考えているとします。通常は1ポイントですが、桐谷社長が選んだニュースは5ポイントにすると、自分の人間関係の中で必要なニュースが上位にくるようになります。

たとえば子育て中のおかあさんがいて、子育て中のおかあさん同士がつながっていると、子育てのニュースが上に上がってくるという感じですね。もちろんAさんとBさんは同じコミュニティであっても人間関係が違うので、見ている世界が違う。このようにひとりひとりにとって最適な世界ができ上がるのが、ソーシャルだと考えています。

桐谷

興味のあるニュースも時間が経つと変化しますし・・・。

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