デジパの元役員で、未来の家の形を考える「YADOKARI」を創業したプロデューサーの上杉に、起業までの道のりと今後について聞いてみました。

ウエスギ セイタ1984年長野県生まれ。
法政大学キャリアデザイン学科卒業。2007年新卒でデジパに入社。2013年YADOKARI LLC創業。「これからの暮らし、これからの働く、これからの価値観」をテーマに長野と神奈川の2拠点居住を実践中。

未来住まい方会議 by YADOKARI

現在の働き方

(聞き手/デジパ:桐谷)

桐谷:YADOKARIを3年前に創業し代表として活動していますが、改めてYADOKARIでは今どんなことをしてますか?

上杉:そうですね、YADOKARIではクリエイティブ事業、建築不動産事業、イベントワークショップ事業、そして物販事業の4つの活動を行っていますが、中でも特に重要視しているのは、「未来住まい方会議」というWebメディアを軸として「仕掛け」で賑わいを作ることです。まず、YADOKARIは「豊かな住宅の選択肢を増やしたい」というミッションのもと活動をしてるんです。現在の日本の住宅は、長期ローンで数千万の家を買うか、高い賃貸に住み続けるという選択肢しかないので、スモールハウスや小さい暮らしというような、間の選択肢があったらいいよね、と。そのミッションを広げるための賑わいをWebメディアを通して作っていますね。
具体的には、世界中のスモールハウスやモバイルハウス、ミニマリストなどの活動を特集し、月に100本近い記事を発信しています。

桐谷:その賑わいからどんな活動が生まれているの?

上杉:たくさんの活動を展開していますが、先日発表したYADOKARI発のスモールハウス「INSPIRATION」は大きなプロジェクトの一つですね。移動ができる250万円のスモールハウスを開発して販売を開始しました。このプロジェクト自体もクラウドファウンディングを使って300人の方から320万円の支援を受けてスタートしています。まさに共感して下さる皆さんの応援、賑わいが大きな力になっています。

パラレルキャリアのワークスタイル

桐谷:2015年6月まではデジパの役員も兼務しながら、パラレルキャリアを実践していたのだけど、どうやってバランスをとっていますか?

上杉:一番気にしていることは自分で時間をコントロールして無駄な時間を過ごさないことですね、これは徹底しています。必然的に活動量が増えるので、打ち合わせはオンラインのビデオチャットで移動の時間を少なくしたり、タスク管理ツール等を最大限に活用したりすることで時間短縮を心がけていますね。デジパのパートナー制度には出社義務が無かったので、自分を律することさえ出来れば時間をコントロールすることはやりやすかったですね。実際に、忙しくても19時には家族と一緒に晩御飯を食べることが出来ていました。その後に仕事に戻ることも多いですけど毎日食卓を家族で囲んで、和気あいあいと話しができることは何にも代えがたい幸せな時間です。

桐谷:そう、自分でコントロールする、自分を律することが大事だよね。

上杉:今でも自己管理は常に課題ですね。怠けた自分を律するのは自分しかいないですから。健康にも気をつけています。食事、運動、睡眠、当たり前のことですができることはきちんとやる習慣をつける努力をしています。余談ですが、パートナー制度に移行した時代から、大好きだったお酒とタバコは両方ともやめました。そのおかげで睡眠の質が上がり体脂肪率も一定をキープできていたりします。自由と責任はイコールですしね。

デジパで得たもの

桐谷:その自分でコントロールする、自分で主導権を取って行動するというのも中々難しいんだけど、それはデジパでの経験が役に立ってる?

上杉:そうですね、デジパは良い意味で放置というか、野放しでしたから、自分から動いていかないと全然ダメで。実際に自分は新卒で入社して半年は受注が全然取れなくて、それでも周りは誰も教えてくれなくて、でも結果や数字には責任を持たされる。今考えると辛かったですけど、その時に周りを巻き込んで動いたりとか主体的に動くことを学びましたね。

桐谷:やっぱり結構苦しかった?

上杉:最初は苦しかったですねー。でも納得できたのは、そうやって動いたことは否定されないし、新卒の若造でもほんとに全部任せてくれるから。任せるって言って任せきれる会社は中々無いですけど、ほんとに管理してないんだなって(笑)同じ時期に入社した人でも、管理型に慣れてる人は相当苦しそうだったし、実際に短期間で辞めてしまった人もいますしね。でも極論、人生も同じで自分の人生は自分で切り開いて動かすものですしね。管理されると自分の頭で考えなくていいから楽なんだけど、主体的に動けなくなるしトラブルに弱くなったりして、あまり良いことが無いんですよね。当時、厳しくも温かい目で見守って下さった桐谷さんや歴代の上司には心から感謝しています。逞しく育ててくれてありがとうと(笑)

桐谷:他にデジパで学んだことかありますか?

上杉:あとはやっぱり旗を立てるということ。デジパに入社してから8年の間に、周りがどんどん起業したり独立していくのを見て、元々自分自身は独立するような人間ではありませんでしたけど、独立すること、自分のやりたいことをすることが特別なことじゃないんだなと。そう思えたことは、起業にもつながっていますね。また、ビジネスマンとしてというよりも前に、人として成熟した人材になることの大切さを教えてもらったのも良かったですね。人間の能力って業務スキルと、心と体にどう向き合えるかっていう精神性の高さの両方からなっていて、特に後者について、例えば禅の思想を取り入れて研修とかをしていたりなど、知識と経験から教えてくれる経営者は少ないと思いますね。

桐谷:今のYADOKARIの運営というか経営でも役に立ってるところはある?

上杉:放任型マネジメントはそのままですね。今は未来住まい方会議でも、多くのインターンさんとかライターさんとかに手伝ったりしてもらってますけど、放任しても上がってくる人とそうでない人に分かれますし、上がってくる人は面白い企画を自発的に出してくれたり、成長の機会を自ら作っていってくれますね。ああ、こいつ生きる力があるなあ、ってメンバーはどこにいっても活躍できると思っています。

今後

桐谷:これからYADOKARIは成長フェーズに入り、子供も産まれたしより大変になっていくんじゃない?

上杉:忙しいですし忙しくなりますけど、逆に時間はあるんですよね。自分でコントロール出来てますから。子供が産まれた時も、出産直後は毎日お見舞いに行ってましたし。妻にも「毎日来てくれるのはあんただけだよ」って言われましたね。

桐谷:俺も毎日お見舞い行ってたなあ。隣の奥さんに、「旦那さん毎日来るね」って言われてたみたい。

上杉:なかなか普通に勤めていると難しいのかもしれませんね。今後で言うと、例えば子供が保育園に行くようになったとしたら送り迎えは自分がやることになりますね。うちは共働きで妻は朝早くから出勤してという働き方なんですけど、そういった働き方も尊重できますし、より柔軟な対応は自分の方が取れますしね。YADOKARIも家族もバランス取って生活していければいいなあと思っています。